活性酸素の本当の姿
  • 編集:
    鈴木 敬一郎(兵庫医科大学生化学講座)
  • 定価:
    3,300円(税込)
  • 頁:
    176ページ
  • 判型:
    B5判
  • 発行年月:
    2014年2月
  • ISBN:
    978-4-905168-29-4

内容

 活性酸素は,「有害な物質」「老化の原因」などといわれ,近年の健康志向の高まりのなかで注目を集め,マスコミにもたびたび取り上げられている。
 しかし,多くの情報のなかには,科学的根拠に乏しいもの,誇張が過ぎるもの,因果関係が明確ではないものも少なくない。
 本書では,初学者や幅広い層の方を対象にしながらも各領域の一流の専門家に執筆を依頼し,活性酸素の真実の姿を描き出すことを目指した。
 まだまだ未知の部分が多い活性酸素について,多くの方に興味をももっていただければ,望外の幸せである。

目次

第1章 はじめに:酸化ストレスとは
 1.活性酸素とは
 2.抗酸化酵素ならびに抗酸化物質
 3.酸化ストレスとは

第2章 活性酸素の生成・消去は日常茶飯事
 1.酸素の歴史と生命
 2.酸素は反応性の高い分子
 3.一重項酸素と三重項酸素
 4.活性酸素とは
 5.身近で発生している活性酸素
 6.生体内における活性酸素の発生とその消去システム
 7.活性酸素の生成と消去にかかわる酵素について
  1)スーパーオキシドジスムターゼ
  2)一酸化窒素合成酵素
  3)ミエロペルオキシダーゼ
  4)カタラーゼ
  5)グルタチオン
  6)グルタチオン還元酵素
  7)グルタチオンペルオキシダーゼ
  8)チオレドキシン
  9)チオレドキシン還元酵素
  10)ペルオキシレドキシン
  11)グルタチオン-S-トランスフェラーゼ
 8.酸化ストレス応答
 9.金属の制御
  1)フェリチン
  2)トランスフェリン
  3)セルロプラスミン
  4)メタロチオネイン
 10.食物から得られる抗酸化物質
  1)ビタミン A
  2)ビタミン C
  3)ビタミン E
  4)ポリフェノール

第3章 なぜ活性酸素は身体に悪いのか
 1.酸化ストレスで傷害を受ける分子
 2.生体に害を及ぼす活性酸素分子種と活性窒素分子種
 3.DNA傷害
  1)DNA傷害の原因となる活性酸素分子種
  2)酸化的塩基損傷
  3)酸化的傷害を受けたDNAの修復機構
 4.脂質傷害
 5.タンパク質傷害
  1)カルボニル化修飾
  2)活性酸素暴露によるペプチド主鎖の切断
  3)含硫アミノ酸の酸化的修飾
  4)芳香族アミノ酸の酸化的修飾
  5)活性窒素による修飾
 6.糖質の傷害
  1)多糖の酸化的修飾
  2)一酸化窒素と亜硝酸による修飾
  3)細胞に由来する活性酸素・活性窒素と多糖の分解

第4章 活性酸素はどう測るのか
 1.活性酸素種の特徴
  1)スーパーオキシドアニオンラジカル
  2)過酸化水素
  3)ヒドロキシルラジカル
  4)一重項酸素
 2.活性酸素の測定法
  1)電子スピン共鳴法
  2)スピントラップ法
  3)スピンプローブ法
  4)シトクロム c還元法,NBT還元法
  5)MCLA(CLA)化学発光法
  6)蛍光法
 3.酸化ストレスマーカー
  1)脂質過酸化測定
  2)タンパク質のカルボニル化
  3)DNA損傷 8-OHdG
  4)その他の酸化ストレスマーカー

第5章 身体に役立つ活性酸素
 1.活性酸素は単なる「悪玉」なのだろうか?
 2.白血球による殺菌と活性酸素
 3.食細胞NADPHオキシダーゼの構造と活性化
 4.食細胞NADPHオキシダーゼと殺菌
 5.平衡感覚と活性酸素
 6.甲状腺ホルモンの生成と活性酸素
 7.ウニの受精と活性酸素

第6章 活性酸素は情報伝達分子
 1.活性酸素とは
 2.活性酸素毒性説と酸化ストレス
 3.活性酸素毒性説からシグナル伝達研究へ
 4.活性酸素シグナルの基本制御機構
 5.活性酸素および NOの生体内での生成
 6.生体分子の化学修飾と親電子性セカンドメッセンジャー
 7.親電子性セカンドメッセンジャーによる特異的なシグナル伝達
 8.活性酸素センサータンパク質のチオール基の特性
 9.活性酸素により制御を受けるシグナル経路
 10. Keap1/ Nrf2経路による酸化ストレス適応応答
 11.8-ニトロ-cGMPによる活性酸素シグナルの伝達

第7章 活性酸素とがん-発がんと鉄を介した酸化ストレス-
 1.細胞周期
 2.がん遺伝子
 3.がん抑制遺伝子
 4.有糸分裂期の制御
 5.酸化ストレスと細胞傷害
 6.鉄による細胞傷害
 7.鉄に由来する活性酸素
 8.鉄を介した酸化ストレスと悪性中皮腫
 9.発がんの化学予防
 10.献血のすすめ

第8章 活性酸素消去薬は効果があるのか
 1.エダラボンの成功
 2.活性酸素消去作用をもつ抗潰瘍薬
 3.ビタミンEが脂肪肝に有効か
 4.アスタキサンチンに注目

第9章 身体の活性酸素消去を高める方法
 1.運動強度と活性酸素
 2.運動ホルミシス現象と抗酸化物質
 3.エキセントリック運動と抗酸化サプリメント
 4.筋力パフォーマンスと抗酸化物質
 5.運動の動脈硬化予防・改善作用とEC-SOD
 6.ホモシステインと酸化ストレス
 7.高脂肪食,DHAと運動と脳機能
 8.鉄とハプトグロブリンと酸化ストレス

【Topics】
 グルタチオン
 メイラード反応と活性酸素
 老化の活性酸素説
 老化とミトコンドリア
 抗酸化酵素と寿命
 カロリーと寿命

序文

著者一覧

鈴木 敬一郎,藤原 範子,大河原 知水,李 昌一,住本 英樹,赤池 孝章,藤井 重元,岡崎 泰昌,豊國 伸哉,内藤 裕二,大野 秀樹,木崎 節子