理学療法士であり，ピラティスインストラクターでもある著者が，主にセラピストを対象読者として，臨床の現場で役立つピラティスの専門書として企画した。
　日本でも少しずつではあるが医療現場に取り入れられはじめているピラティスについて，その基本的な考え方や特徴，取り入れる際のヒントなどを示した。
　エクササイズの紹介には，写真を豊富に使い，指導する際の具体的な注意点も示した。
　ピラティスが多く取り入れられているウィメンズヘルス(女性の健康,特に妊娠・出産による問題)の分野についても1章を設け，エクササイズを数多く紹介した。

I．ピラティスとは
　1．ピラティスの歴史
　2．世界のピラティス
　3．マットエクササイズとイクイップメントエクササイズ

II．今なぜピラティスなのか
　1．「医療」の視点と「アート」の視点
　2．治療から予防，健康増進へ
　3．部位から全身へ

III．ピラティスの基本原則
　1．ピラティスの基本原則
　2．発達とピラティスの基本原則
　3．各原則の解説
　4．事前注意

IV．実践！　運動学的視点からみたピラティスの特異性
　エクササイズ1　脊柱のあらゆる方向への分節的な動き
　エクササイズ2　体幹の安定性
　エクササイズ3　コアの安定性に基づいた四肢の分離された運動
　エクササイズ4　肩甲骨の下制と軸の伸長の関連性
　エクササイズ5　求心性・遠心性収縮を多用した動きの制御
　エクササイズ6　呼吸と運動の連動および呼吸による胸郭の柔軟化
　エクササイズ7　肩甲骨と胸郭の連動
　エクササイズ8　日常的に使用する動きを利用した機能的なエクササイズ
　エクササイズ9　様々な環境，肢位で行うエクササイズ
　エクササイズ10　キューイング

V．ピラティスを指導するうえで知っておくべき筋骨格系
　1．上　肢
　2．体　幹
　3．下　肢

VI．ヒトの特徴とピラティス
　1．股関節の伸展
　　エクササイズ1　プローンでのヒップエクステンション
　　エクササイズ2　ランジでのスクワット
　2．足部の３つのアーチ
　　エクササイズ3　フットワーク
　　エクササイズ4　つま先立ちでのスクワット
　3．腰椎の前弯
　　エクササイズ5　オープンレッグロッカーの修正
　　エクササイズ6　デッドバグス
　4．頭部が脊柱の真上にある
　　エクササイズ7　ネックロール
　　エクササイズ8　マーメイド
　5．樽状の胸郭
　　エクササイズ9　チェストリフト
　　エクササイズ10　ダート
　　エクササイズ11　ソウの修正
　6．母趾の強さ
　　エクササイズ12　足部のポイント
　　エクササイズ13　レッグサークル
　7．大腿骨の頚体角
　　エクササイズ14　ランジ
　　エクササイズ15　スクーター
　8．縦に短く横に長い骨盤
　　エクササイズ16　シングルレッグストレッチ
　　エクササイズ17　サイドリフト

VII．理学療法とピラティスアプローチ
　1．運動学習
　2．インナーマッスル
　3．抗重力筋
　4．正中化と安定性
　5．歩　行
　6．自主トレーニングの指導

VIII．ウィメンズヘルスとピラティスアプローチ
　1．ウィメンズヘルスとは
　2．骨盤底筋群とは
　3．妊娠中，産後の身体的特徴
　4．産後の姿勢改善のためのエクササイズ
　　骨盤- 股関節の動きのためのエクササイズ1　ペルビッククロック
　　骨盤- 股関節の動きのためのエクササイズ2　フィーマーアークス
　　骨盤- 股関節の動きのためのエクササイズ3　クラム
　　骨盤- 股関節の動きのためのエクササイズ4　ベントニーフォールアウト
　　骨盤底筋群のエクササイズ1　ブリッジング
　　骨盤底筋群のエクササイズ2　キャット& カウ
　　骨盤底筋群のエクササイズ3　スクワット
　　肩甲骨の可動性を促すエクササイズ1　チェストオープナー
　　肩甲骨の可動性を促すエクササイズ2　ブックオープニングス
　　肩甲骨の可動性を促すエクササイズ3　肩甲骨の突き出しと引き込み
　　胸郭- 骨盤の安定性のためのエクササイズ1　サイドトゥサイド
　　胸郭- 骨盤の安定性のためのエクササイズ2　クリスクロス
　　胸郭- 骨盤の安定性のためのエクササイズ3　マーメイド
　　胸郭- 骨盤の安定性のためのエクササイズ4　ソウ
　　脊柱の伸展を促すエクササイズ1　スワン
　　脊柱の伸展を促すエクササイズ2　ダート
　　足部のエクササイズ1　足趾・足底を動かすエクササイズ
　　足部のエクササイズ2　つま先立ち

IX．症　例
　　症例1　胸椎からの重心偏位による足部痛
　　症例2　長期にわたる腰痛
　　症例3　生理的弯曲保持困難による腰痛

中村 尚人，笠原 可奈子