サルコペニアを知る・測る・学ぶ・克服する
  • 著:
    安部 孝(ミシシッピ大学応用科学部)
    真田 樹義(立命館大学スポーツ健康科学部)
    尾崎 隼朗(順天堂大学スポーツ科学部)
  • 定価:
    2,200円(税込)
  • 頁:
    154ページ
  • 判型:
    A5判
  • 発行年月:
    2013年2月
  • ISBN:
    978-4-905168-21-8

内容

 わが国では人口の高齢化が進み,65歳以上の高齢者が総人口の24%を占めるまでにいたったが,「要支援・要介護」認定者の割合も年々増加し,2010年の認定者数は65歳以上高齢者の6人に1人となっている。
 加齢に伴って無意識のうちに起こる筋量・筋力の減少を『サルコペニア』と呼ぶ。近年,この分野の研究は爆発的に増加し,多くの優れた知見が公表されるようになった。
 この有効な最新情報を多くの方々に伝えることは,サルコペニアが主因で起こる身体機能障害の予防や改善に大いに役立つものと期待できる。また,若い時のライフスタイルは将来,高齢期を迎えた時のサルコペニア予防に重要な意味合いをもっている。
 本書では,サルコペニアの予防・改善策として栄養改善と実施するスポーツや身体運動の効用に関して,最新の研究成果を交えながらわかりやすく,具体的に解説するよう試みた。本書がこの分野の発展,そして自立生活を維持する健康長寿の一助になれば幸いである。

目次

第1章 サルコペニアを知る
 1-1 プロローグ
 1-2 サルコペニアとは
 1-3 サルコペニアの定義
 1-4 サルコペニアは老化か,それとも老年病か
 1-5 サルコペニアとディナペニア
 1-6 サルコペニア・ディナペニアの要因
 (1)神経系
 (2)筋 系
 1-7 サルコペニアなのか,ディナペニアなのか
 1-8 サルコペニアにみられる部位差(site. specificサルコペニア)
 1-9 大腿部 site . specificサルコペニアと筋活動パターン
 1-10 大腿部 site . specificサルコペニアと運動習慣の有無
 1-11 大腿部 site . specificサルコペニアと身体活動強度
 1-12 大腿部 site . specificサルコペニアと歩行能力・バランス
 1-13 サルコペニアの罹患率
 1-14 サルコペニア罹患率と体格指数(body mass index : BMI)
 1-15 サルコペニア罹患率の性差
 1-16 サルコペニア罹患率の国際比較
 1-17 サルコペニアと医療費(ヘルスケア)負担
 1-18 サルコペニアの成因
 (1)中枢神経による刺激
 (2)性ホルモンによる刺激
 (3)成長因子による刺激
 (4)甲状腺ホルモンによる刺激
 (5)カテコールアミンによる刺激
 (6)身体活動による刺激
 (7)栄養摂取による刺激
 (8)年代別の関連因子
 1-19 サルコペニアと疾患
 1-20 サルコペニア肥満

第2章 サルコペニアを測る
 2-1 筋量からの評価
 (1)DXA法
 (2)インピーダンス法
 (3)超音波Bモード法
 (4)身体計測法
 2-2 筋力からの評価
 2-3 パフォーマンステストからの評価

第3章 サルコペニアを学ぶ
 3-1 サルコペニアと生存率(サバイバル)
 3-2 サルコペニアと糖尿病
 3-3 サルコペニアと高血圧
 3-4 サルコペニアと高脂血症
 3-5 サルコペニアと動脈の柔らかさ
 3-6 サルコペニアと身体活動量
 3-7 サルコペニアと歩行能力
 3-8 サルコペニアと骨密度・転倒
 3-9 サルコペニアと要介護

第4章 サルコペニアを克服する
 4-1 はじめに
 4-2 サルコペニアに対する栄養改善の効果
 (1)タンパク質・アミノ酸
 (2)脂肪酸
 (3)ビタミンD
 4-3 サルコペニアに対する持久的運動の効果
 (1)ウォーキング
 (2)ジョギング・ランニング
 (3)水中運動
 (4)サイクリング
 4-4 持久的(自転車エルゴ)運動による筋肥大の機序
 4-5 サルコペニアに対する筋力トレーニングの効果
 (1)膝伸展運動
 (2)スクワット運動
 4-6 トレーニング効果の性差
 4-7 サルコペニアと若年期の筋量蓄積
 4-8 高齢期にはじめるトレーニングの効果

COLUMN
 1 のんびりウォーキングの健康への効果
 2 サルコペニアのバイオマーカー
 3 上手に“サボって”,トレーニング効果を高める方法
 4 メタボリックシンドロームは高強度の身体活動で抑制できる
 5 筋力トレーニングによる有酸素能の改善

序文

正誤表(PDF)