内容
酸素摂取系・酸素輸送系・酸素利用系障害の原因として,呼吸器疾患や心循環器疾患,筋の量や質の変化(加齢に伴うサルコペニアやロコモティブシンドローム,ICU-acquired weakness),安静臥床による廃用症候群,ベッドレストによって引き起こされるデコンディショニング,集中治療後症候群などが考えられる。呼吸器疾患は外呼吸の障害により動脈血酸素含量の低下を,心循環器疾患は心拍出量の低下を,筋の変化は動静脈酸素較差(末梢組織で取り込まれた酸素量)の減少をもたらす要因である。加齢に伴う機能低下は時にフレイルを引き起こす。筋の構造や代謝,神経刺激の負の変化は,筋での酸素の取り込みを減少させる(内呼吸の障害を生じさせる)と考えられる。
ヒトは,地上において1 G の重力環境で活動している。安静臥床の害が示されて以来現在に至るまで,早期離床の大切さが認められている。また,運動耐容能の向上に運動トレーニングが欠かせない。酸素摂取系・酸素輸送系・酸素利用系障害に対するリハビリテーションとして,早期離床と運動トレーニングは重要な戦略である。
本書では,酸素摂取系・酸素輸送系・酸素利用系の正常と障害,および早期離床と運動トレーニングについて言及した。酸素摂取系・酸素輸送系・酸素利用系障害に対するリハビリテーションの,古くからある普遍的な知識と最新の知見を記述した。
目次
第1 章 酸素摂取系・酸素輸送系・酸素利用系とその障害
第2 章 酸素摂取系・酸素輸送系・酸素利用系と離床
第3 章 酸素摂取系・酸素輸送系・酸素利用系障害と運動トレーニング
第4 章 酸素摂取系障害と運動トレーニング
第5 章 酸素輸送系障害と運動トレーニング
第6 章 酸素利用系障害と運動トレーニング